利益とともにブランド価値を下落させるもの

2002/11/13

今回は、駅前や路上でよく配布されている「割引券」に関するお話です。

file1でもご紹介しましたが、コーヒーショップの「ベローチェ」は、50円引の割引券を頻繁に配っています。
これをもらうと通常150円のコーヒーが100円(缶コーヒーよりも安い値段)で飲め、
私もよく利用させてもらっているのですが、
ブランド構築の観点から見ると、割引券の配布には大きなデメリットがあります。
こういうサービスは即刻とりやめたほうが賢明でしょう。

割引券の配布が、なぜいけないかと言うと、ベローチェのようなセルフサービスのコーヒーショップでは、
注文の際にお客が列をなしているため、
自分の前後にいるお客が商品をいくらで買っているかが見えてしまうからです。
仮に自分がコーヒーを注文して、正価の150円を支払ったとしましょう。
自分の後ろに並んでいたお客が同じコーヒーを注文して割引券を出し、
100円で買っているところを見てしまったら、あなたはどんな気分になりますか?
私の場合(これは実体験なのですが)、こんな感じで怒りがこみあげてきました。

なんで俺が150円払ってるのに、こっちのお客は100円でいいんだよ。
割引券をもらえたか、もらえなかったかなんて、単なる偶然だろ。
もらえた人間はラッキーで喜んでいるかもしれないけど、もらえなかった俺はアンラッキー!
だいたい気分をリフレッシュしたくて、コーヒーを飲みにやってきただけなのに、
なんでこんな不愉快な思いをさせられなくちゃいけないんだよ。
割引をやるんなら公平にやれってんだ!
吉野家とかミスタードーナツみたいに期間を決めてやるとかさ。
・・・あれあれ、なんだよ、この店員、俺がこんなに不愉快な気分になっているのに、
にっこり笑って「ありがとうございます」だってさ。
もしかして、正価でコーヒーを買ってしまった俺のこのくやしさが、まったく分かってないのか?
く〜、この無神経さがまたまた癇にさわるんだよナ〜。

こんな思いをして以来、私は、割引券をもらった日にしか、ベローチェを利用しなくなってしまいました。
正規の料金を支払うなら、近くにあるドトールかスターバックスに行ったほうが、
不愉快な思いをしなくて済むからです。

さて、ここで着目してもらいたいのは、
もともと割引をしなくても来店してくれているお客(利益率の高いお客)に対して、
このような心理的なダメージを与え、他の競合店にお客を逃がしてしまっている点です。
割引券を配れば、確かに一時的には客入りが増えるでしょうが、
顧客単価が30%強も落ち込んでいて(割引券の印刷費やそれを配布する人件費を含めれば
実質それ以上の落ち込み)、利益の面でもけっして有効な販促手段とはいえません。
こんなことを繰り返していると、正規の料金で商品を買ってくれる大切なお客が、
みんな他の競合店に流れていってしまい、
お店に来てくれるのは割引券をもらったお客ばかりになってしまうでしょう。
こうなるともう、連日割引券をばら撒かなくてはお客が来なくなるという、
最悪の事態を招くことにもなりかねません。

大切なことは、売上ではなく、利益を上げるための方策を練ることです。
売上が伸び悩むと割引券を配って数字の帳尻あわせをしている行為は、
ただ単に問題の先送りをしているとしか言いようがありません。

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ブランディング・コーチ 矢沢大輔
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