バーゲンにおけるブランド戦略

2002/10/11

バーゲンであるにもかかわらず、サイズ切れの商品を他店舗から取り寄せてくれる
「モーションエレメント」の顧客サービスについて前号で触れました。
しかし、読者の方の中には、割引価格で売っているのに、
そこまで顧客サービスを高める必要があるのかと、疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、バーゲンにおける「顧客サービス」の是非について、
ブランド構築の観点から、もう少し掘り下げてみたいと思います。

バーゲンで顧客サービスが不要に思える最たる理由は、
おそらく「忙しくて、それどころじゃない」という物理的制約によるものでしょう。
お客さんが殺到するバーゲンでは、いつもの接客は不可能。
この点については私も納得です。
しかし、バーゲンも3、4日目に入ってお客さんが減り、
通常の営業日となんら変わらない状況になった場合は、どうでしょうか?
こうなると、「いつもの接客は不可能」という物理的制約は、もう解消されています。
にもかかわらず、たいていのお店は、サイズ切れの商品を他店舗から取り寄せてくれたりはしません。
通常の営業日なら当たり前にやっていることなのに、どうしてやってくれないのでしょう?

第1の理由:「いつもより安い」=「顧客満足」と考えているから。
第2の理由:通常より利益率が落ちるバーゲンで取り寄せをすれば、
その経費によってさらに利益率が悪化してしまうから。

二つとも、もっともらしい理由のように思えますが、第1の理由については、あきらかに嘘が含まれています。
そもそもバーゲンというのは、シーズン遅れの在庫品を処分するために実施されるものであって、
それはあくまで企業側の事情によるもの。
それを「半期に一度、お客様に利益を還元!」なんていって
「顧客サービス」を行っているかのように見せている企業が、なんと多いことか。
ここから、バーゲンにおける顧客サービスの手抜きが始まるわけです。

第2の理由としてあげた「取り寄せによる利益率の悪化」にも矛盾点があります。
バーゲンでの売れ残りは、企業にとっての不良在庫になってしまいます。
何の利益も生まない不良在庫を抱えるくらいなら、
取り寄せの配送コストが少々かかっても各店舗ごとで顧客を紹介しあい、
在庫を減らしたほうが、会社全体としての利益につなるのではないでしょうか。

つまり、バーゲンでの取り寄せは、企業側には在庫処分のメリットをもたらし、
顧客側にサイズ切れの商品が手に入る幸運をもたらしてくれるわけです。
企業、顧客の双方にメリットをもたらすこうしたサービスを、
なぜ、多くの企業がいまだ実行しようとしないのか?
これは見方を変えれば大きなチャンスです。

顧客サービスの水準が全体的に低下するバーゲンで、通常どおりの顧客サービスを実行するだけで、
それが強烈なインパクトとなり、顧客の心にブランドを印象づけることができるからです。

バーゲンこそ、ブランドの驚きを認知させる絶好のチャンスとご記憶ください。

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ブランディング・コーチ 矢沢大輔
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